最先端の工業技術や医療分野で注目を集めるチタン鋼線(チタンワイヤー)。その卓越した特性から「金属の宝石」とも呼ばれ、様々な高性能要求分野で活用されています。

弊社では幅広いサイズや特性のチタン鋼線を製造・加工・販売を行っております。チタン鋼線に関することならお気軽にご相談ください。
チタン鋼線(チタンワイヤー)の魅力
チタン鋼線は、チタンを主原料とした精巧な線状の金属材料です。青銅色の光沢を持ち、以下のような優れた特性を誇ります:
- 高い耐腐食性:海水や化学薬品にも強い抵抗力
- 優れた耐薬品性:酸やアルカリ溶液に対する高い耐性
- 軽量性:鉄の約60%の比重でありながら、優れた強度
- 生体適合性:人体と高い親和性を持つ
- 非磁性:磁気を帯びにくい特性
これらの特性により、チタン鋼線は過酷な環境下での使用や、高い信頼性が求められる分野で重宝されています。特に軽量でありながら高い強度を持つという点は、他の金属材料では代替が難しい特徴です。
チタン鋼線(チタンワイヤー)の種類
チタン鋼線は大きく分けて「純チタン」と「チタン合金」に分類されます。それぞれに独自の特性と用途があります。
純チタン鋼線(グレード分類)
純チタン鋼線はJIS規格やASTM規格によって、不純物の含有量に応じて複数のグレードに分類されています:
グレード1
- 最も純度が高く、柔軟性に優れる
- 耐腐食性が最高レベル
- 強度は比較的低め
- 医療インプラントや化学プラント部品に使用
グレード2
- 最も一般的な純チタン
- バランスの取れた強度と加工性
- 化学工業や船舶部品に広く使用
グレード3
- グレード2より強度が高い
- 加工性も良好
- 航空機の非構造部品や自動車部品に使用
グレード4
- 純チタンの中で最も高い強度
- 耐食性はやや低下するが、依然として優れている
- 歯科インプラントや高強度を要する医療機器に使用
合金チタン鋼線
合金元素を添加することで、純チタンよりも高い強度や特殊な特性を持たせたチタン合金があります:
Ti-6Al-4V(チタン64合金)
- チタン合金の代表格
- アルミニウム6%、バナジウム4%を含有
- 純チタンの約2倍の強度
- 優れた耐熱性(約400℃まで使用可能)
- 航空宇宙分野や高級スポーツ用品に使用
Ti-3Al-2.5V
- Ti-6Al-4Vより加工性に優れる
- 高圧配管や航空機油圧システムに使用
- 自転車フレームなどスポーツ用品にも適用
ニッケルチタン合金(ニチノール)
- 形状記憶効果と超弾性を持つ特殊合金
- 医療デバイス(ステント等)や精密機械に使用
- 通常の金属と比べて10倍以上の弾性変形が可能
チタンワイヤーの主な用途
チタンワイヤーは、その優れた特性から様々な産業分野で幅広く活用されています。以下に主な用途を紹介します。
1. 航空宇宙産業
航空宇宙産業では、チタンワイヤーの優れた強度と軽量性が重要視されています。
- 航空機エンジンの部品製造
- 高温・高応力にさらされるコンポーネント
- 衛星アンテナ
- タービンディスクやエアロジェットエンジンブレードの修理溶接
チタンは同じ重量の他の金属よりも強度が高いため、軽量化が求められる航空宇宙分野で特に重宝されています。
2. 医療産業
チタンワイヤーは生体適合性に優れ、人体に毒性がないため医療分野で広く使用されています。
- 人工股関節や歯科インプラント
- 医療器具(手術器具など)
- 頭蓋骨固定
- 骨片固定や内固定具の締結
- ペースメーカー
- 整形外科用インプラント
特に医療用チタンワイヤーは、金属アレルギーの心配が少なく、人体との親和性が高いことが大きな利点です。
3. 自動車産業
自動車産業では、チタンワイヤーの強度と耐久性が活かされています。
- エンジン部品(バルブやコネクティングロッドなど)
- ギアボックスの溶接
- 高応力用途での部品
燃費効率と性能向上のために軽量化が求められる自動車産業では、チタン合金ワイヤーが理想的な選択肢となっています。
4. 溶接用途
チタンワイヤーの多くは溶接用途に使用されています。
- MIG/TIG溶接のフィラー材
- チタンパイプやチタン製金属部品の溶接
- さまざまなチタン機器の溶接
- 溶接パイプの製造
優れた溶接性を持ち、高品質な溶接が可能なことが特徴です。
5. 化学・工業用途
チタンワイヤーの優れた耐食性と耐酸化性は、化学産業や工業分野で重宝されています。
- 化学、製薬、製紙業界での各種装置
- 海水フィルタースクリーン
- 浄化水フィルタースクリーン
- 化学フィルタースクリーン
- 電極の製造(電気めっき・水処理産業)
過酷な環境や腐食性の高い環境下での使用に適しています。
6. スポーツ・レジャー用品
チタンワイヤーの軽量性と強度は、スポーツ用品の製造にも活用されています。
- 自転車のフレーム
- ゴルフクラブ
- テニスラケット
- スポーツ装備の補強材
軽量でありながら高い強度を持つため、アスリートのパフォーマンス向上に貢献します。
7. 日用品・装飾品
チタンワイヤーはその特性と加工性から、様々な日用品や装飾品にも使用されています。
- メガネフレーム
- ピアス等のアクセサリー
- 衣服のショルダーパッド
- ブラジャーのワイヤー
- 装飾用途の製品
軽量で強度があり、金属アレルギーの心配が少ないことから、身に着ける製品に適しています。
8. 特殊用途
チタンニッケル合金ワイヤーのような形状記憶機能を持つものは、特殊な用途にも使用されています。
- 形状記憶合金材料
- バネやファスナーの製造
- 電気接点の製造
- 荷重を支える部品
多様な特性を持つチタンワイヤーは、さまざまな特殊用途に適応可能です。
チタン鋼線の選び方ガイド
目的や用途に応じた最適なチタン鋼線を選ぶためのポイントを解説します。
使用環境による選定
- 耐腐食性を最優先する場合:純チタン(グレード1、2)
- 化学プラント、海水環境、食品加工機械など
- 高強度と耐熱性を優先する場合:Ti-6Al-4V合金
- 航空機部品、高温環境での機械部品など
- 生体適合性を重視する場合:医療グレードの純チタンまたはTi-6Al-4V ELI
- 医療インプラント、外科用器具など
チタン線材とステンレス線材の簡易比較
項目 | チタン線材 | ステンレス線材(SUS304/316など) |
比重(軽さ) | 約4.5(非常に軽い) | 約7.9(重い) |
耐食性 | 非常に優れる(海水・酸・塩素に強い) | 優れる(特にSUS316は薬品・塩水に強い) |
強度(比強度) | 高強度かつ軽量(比強度が特に高い) | 強度は高いが、比強度はチタンに劣る |
耐熱性 | 400℃程度まで使用可(Ti-6Al-4V等) | 約300℃前後(材質により変動) |
加工性 | やや難しい(硬くて弾性が強い) | 比較的加工しやすい |
生体適合性 | ◎(アレルギーリスクが極めて低い) | ◯(SUS316は医療用にも使用) |
非磁性 | 完全な非磁性 | SUS304/316も基本的に非磁性 |
コスト | 高価 | 比較的安価(用途に応じ選択しやすい) |
用途例 | 医療用インプラント、航空部品、特殊ばね | 精密ばね、医療器具、電子・機械部品 |
チタン鋼線に関するよくある質問
Q1. なぜチタン鋼線は高価格なのですか?
A: チタンは地殻中に豊富に存在しますが、精製が難しく製造工程が複雑であるため高コストになります。また、加工時に特殊な設備や技術が必要なことも価格に影響しています。
Q2. チタン鋼線の主な強みは何ですか?
A: 優れた耐腐食性、高い比強度(軽量でありながら強い)、生体適合性、非磁性、広い温度範囲での使用可能性が主な強みです。これらの特性が複合的に優れている金属は他にありません。
Q3. 小ロットでの試作は可能ですか?
A: 作業内容や要求仕様により対応可能です。チタン鋼線は特殊材料ですが、少量からの製造にも対応できるメーカーがあります。具体的な要件についてはご相談ください。
Q4. チタンは磁石にくっつきますか?
A: いいえ、チタンは非磁性体であり、磁石に引き付けられません。この特性はMRI検査を受ける可能性のある医療インプラントなどに特に重要です。
チタン鋼線サービスのご案内
専門メーカーでは、チタン鋼線に関する以下のようなサービスを提供しています:
- 一貫したサポート:材料選定から加工、納品まで一連のプロセスをサポート
- 豊富な在庫:純チタン、各種チタン合金の幅広いラインナップ
- 柔軟な対応:小ロット試作から大量生産まで様々なニーズに対応
- 品質保証:厳格な品質管理体制による高品質な製品提供
- 迅速な納期:効率的な生産体制による短納期対応
チタン線材(チタンワイヤー)ならシンドーへ


チタン鋼線は、その優れた特性から航空宇宙、医療、海洋、スポーツなど幅広い分野で活用されている高性能金属材料です。初期コストは高いものの、耐久性や長期信頼性を考慮すると、多くの用途で最適な選択となります。
お客様の具体的なニーズや課題に基づいた最適なチタン鋼線の選定について、お気軽にご相談ください。図面がなくても構想段階からサポートいたします。