ウェッジワイヤースクリーン(ウエッジワイヤースクリーンとも表記)は、断面が逆三角形(くさび形)のステンレス線材を等間隔に並べて溶接した、産業用のろ過・分離スクリーンです。目詰まりしにくく、強度と精度が高いことから、水処理、食品、化学、製紙、リサイクルなど幅広い分野で使われています。
本記事では、ウェッジワイヤースクリーンの構造と特徴、金網やパンチングメタルとの違い、形状の種類と用途、仕様の見方と選定時の注意点をわかりやすく解説します。
1. ウェッジワイヤースクリーンとは
ウェッジワイヤースクリーンは、「ウェッジワイヤー(くさび形断面の異形線)」と「サポートロッド(支持棒)」の2種類の線材で構成されます。ウェッジワイヤーを逆三角形の底辺(広い面)を上にして等間隔に並べ、その下を横切るサポートロッドに溶接で固定することで、ワイヤー同士のすき間が「スリット」として機能します。
ウェッジワイヤー
くさび形(逆三角形)断面の異形線。広い面を上にして等間隔に並べ、ワイヤー同士のすき間がスリットになります。
サポートロッド
ウェッジワイヤーの下を横切る支持棒。溶接で固定し、スクリーン全体の強度と平面度を保ちます。
織金網が線材を縦横に編むのに対し、ウェッジワイヤースクリーンは線材を一方向に並べて溶接するだけのシンプルな構造です。編み工程がないため、太い線材で細いスリットを形成でき、溶接固定されているのでスリット幅が使用中にずれることがありません。
スリット幅は用途により数十μm(マイクロメートル)から数mmまで設定でき、平板状、円筒状、バスケット状、円錐状など多様な形に加工できます。材質はステンレス鋼が標準で、当社ではSUS304を基本としています。
2. 目詰まりしにくい理由|逆三角形断面の効果
ウェッジワイヤースクリーンの最大の特徴は、スリットの断面が「入口が狭く、出口に向かって広がる」形になっていることです。逆三角形のワイヤーを並べると、ワイヤー同士が最も近づくのは表面のみで、そこを通過した固形物は下に向かうほど広い空間に出ます。
- 接触は表面の一点だけ:通過できた粒子はスリット内で引っかからない
- 奥で詰まらない:織金網やパンチングメタルのように、開口部の奥で粒子が挟まる目詰まりが起きにくい
- 逆洗で回復しやすい:裏側からの圧力で表面の固形物が押し出され、初期性能に近い状態に戻る
この構造は逆洗(裏側から液体や空気を流して洗浄する方法)との相性も抜群です。スリットが末広がりであるため、裏側からの圧力で表面に引っかかった固形物が簡単に押し出され、洗浄後は初期性能に近い状態に回復します。ろ布や樹脂フィルターのように使い捨てにする必要がなく、長期間繰り返し使えることが、ランニングコストと環境負荷の両面で評価されています。
3. 他のスクリーンとの比較|織金網・溶接金網・パンチングメタル
固液分離やふるい分けに使われる代表的なスクリーンを比較します。用途によって最適な選択は変わるため、判断の目安としてご覧ください。
| 種類 | 構造 | 開口精度 | 強度 | 目詰まり | コスト | 向いている用途 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| ウェッジワイヤースクリーン | 異形線を並べて溶接 | ◎ 高精度 | ◎ | ◎ しにくい | 高 | 固液分離、脱水、触媒保持、集排水 |
| 織金網 | 丸線を縦横に織る | ○ | △ 線がずれる | △ | 低〜中 | 汎用のふるい、防虫、装飾 |
| 溶接金網 | 丸線を格子状に溶接 | ○ | ○ | ○ | 中 | カゴ、ガード、粗いろ過、構造材 |
| パンチングメタル | 板に穴を打ち抜く | ○ | ◎ | △ 穴の奥で詰まる | 中 | 開口率が低くてよい用途、外装 |
ウェッジワイヤースクリーンは、精度・強度・目詰まり性能のすべてで優れる一方、一点物の製作品であるためコストは高めです。粗いろ過や構造用途であれば溶接金網で十分な場合も多く、当社では用途に応じてウェッジワイヤースクリーンと溶接金網を使い分けたご提案を行っています。
4. 形状の種類と主な用途
平形(パネル)スクリーン
平板状に製作したスクリーンで、脱水機、振動ふるい、水路の除塵、床面の排水口などに使われます。フレームに組み込んで使うことが多く、枠材との溶接や取り付け金具の製作もあわせて必要になります。
円筒形(ストレーナー・エレメント)
円筒状に巻いたスクリーンで、配管内のストレーナー、井戸の集水管、圧力容器内の樹脂・触媒の保持などに使われます。ワイヤーを外側に配置する「外巻き」と内側に配置する「内巻き」があり、流れの方向によって選択します。
バスケット・円錐(コニカル)形
遠心分離機やスクリュー脱水機の外網、破砕機のスクリーンなど、回転や圧力がかかる装置に組み込まれる形状です。高い強度と精度が同時に求められます。
主な用途分野
- 水処理:下水・排水のし渣除去、雨水の異物除去、担体の流出防止
- 食品:野菜・漬物工場の排水からの残渣回収、澱粉や糖液の精製、ビール・醤油等の醸造工程
- 化学・製薬:反応塔の触媒保持、樹脂粉の回収、イオン交換樹脂の保持
- 製紙・パルプ:繊維の分級、洗浄、脱水
- リサイクル:ペットボトル破砕片の回収、汚泥の濃縮
- 工作機械:クーラント液・切削油中のスラッジ回収
5. 仕様の見方|スリット幅・ワイヤーサイズ・開口率
ウェッジワイヤースクリーンを検討する際に押さえておきたい仕様項目を整理します。以下の数値は一般的な参考値であり、設計時には用途条件に応じて個別に決定します。
| 項目 | 内容 | 参考値・考え方 |
|---|---|---|
| スリット幅 | ワイヤー同士のすき間。分離できる粒子の大きさを決める | 数十μm〜数mm。細かいほど精度は上がるが流量は下がる |
| ウェッジワイヤーのサイズ | 上辺幅×高さで表す。上辺幅が広いほど開口率は下がる | 上辺1〜3mm程度が一般的。微細用途では1mm以下 |
| サポートロッドのサイズ | 支持棒の太さと間隔。強度と平面度を決める | 荷重条件で選定。間隔が狭いほど強度は上がる |
| 開口率 | スクリーン面積に対するスリット面積の割合 | スリット幅÷(スリット幅+ワイヤー上辺幅)で概算 |
| 材質 | 標準はステンレス鋼 | SUS304を基本に、使用環境に応じて相談 |
開口率と精度はトレードオフの関係にあります。細いスリットで高精度にすると開口率が下がり、同じ流量を処理するにはスクリーン面積を増やす必要があります。装置の処理量と分離したい粒子径の両方から仕様を逆算することが重要です。
6. ノッチワイヤーとの違い
ウェッジワイヤーとよく比較されるものに「ノッチワイヤー」があります。ノッチワイヤーは、丸線や平線に一定間隔で凹み(ノッチ)を付け、その凹み部分をスペーサーとして線材同士のすき間を確保する方式です。ワイヤーを積層または巻き付けて使い、溶接を必要としないため比較的安価に製作できます。
一方、ウェッジワイヤースクリーンは全溶接構造でスリット幅が固定されているため、圧力や振動がかかる環境でも精度が変わらず、逆洗にも強いという利点があります。
コスト優先なら
ノッチワイヤー
溶接不要で比較的安価。積層・巻き付けで使用します。
精度・耐久性優先なら
ウェッジワイヤー
全溶接でスリット幅が固定。圧力・振動・逆洗に強い。
7. 選定時の注意点
薄く平たい固形物は通過することがある
スリットは細長い長方形のため、粒子径が大きくても厚みの薄い固形物(フィルム片、葉など)はスリットを通過する場合があります。対象物の形状が不定形な場合は、スリット方向と流れ方向の関係を含めて設計を検討します。
規格品ではなく製作品である
ウェッジワイヤースクリーンは大量生産される汎用品ではなく、用途ごとに設計・製作される一点物です。そのため価格は金網より高くなりますが、逆洗による長期使用や交換頻度の低減によって、トータルコストでは有利になるケースが多くあります。
周辺部材まで含めて考える
スクリーン単体では装置に組み込めません。フレーム、取っ手、脚、取付金具、カゴ状の補強など、周辺のステンレス部材が必要になることがほとんどです。スクリーンと周辺部材を別々の業者に依頼すると、寸法の整合や納期の調整に手間がかかります。
8. シンドーのウェッジワイヤースクリーン用の材料対応
株式会社シンドーは1947年創業、新潟県燕三条エリアのステンレス線材加工メーカーです。SUS304線材(φ0.15〜8mm)を自社で調達し、材料販売から曲げ・成形、溶接、電解研磨までを手掛けています。
ウェッジワイヤースクリーンについては、スクリーン本体の製作ではなく、スクリーンの製作に用いるステンレス線材の材料供給を中心にご相談を承っています。スクリーンメーカー様・装置メーカー様の材料調達先としてご活用ください。
- 材料供給:ウェッジワイヤースクリーンの製作に用いるSUS304線材を自社調達・供給。線径・数量は用途を伺ったうえでご案内します
- ロット:最小ロットは仕様・数量など内容によりご相談となります
- 代替提案:粗いろ過や構造用途で十分な場合は、自社の溶接金網によるご提案も可能です
材料を自社で調達しているため、線径や数量のご相談に柔軟に対応できます。ウェッジワイヤースクリーン用のステンレス線材の調達先をお探しの方は、お気軽にお問い合わせください。
9. よくある質問
-
材料の価格や最小ロットを教えてください
-
ステンレス線材の価格は線径・数量などにより異なるため、一律の単価はありません。最小ロットも内容によりご相談となります。用途・線径・数量をお知らせいただければ、お見積りいたします。
-
洗浄・メンテナンス方法は?
-
逆洗(裏側からの水・空気の噴射)が基本です。スリットが末広がりであるため、固形物が押し出されやすく、繰り返し使用できます。高圧洗浄やブラシ洗浄も可能ですが、スリット面を傷めないようご注意ください。
-
金網で代用できるケースはありますか?
-
分離する粒子が比較的大きく、圧力や振動が小さい用途では、溶接金網で十分な場合があります。当社では溶接金網の製作に対応していますので、用途を伺ったうえでご提案します。
10. まとめ
ウェッジワイヤースクリーンは、逆三角形断面のワイヤーを溶接した構造により、目詰まりしにくく、高精度・高強度で長期使用できるろ過・分離スクリーンです。織金網やパンチングメタルでは対応が難しい固液分離、脱水、触媒保持などの用途で力を発揮します。
株式会社シンドーは、SUS304線材の自社調達を強みに、ウェッジワイヤースクリーン用のステンレス線材の材料供給と、溶接金網による代替提案でお応えします。スクリーン材料の調達先をお探しの方は、お気軽にお問い合わせください。
